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今回は、新川帆立さんの「先祖探偵」を読みました。
戸籍を辿って先祖を探してくれる探偵のお話です。
以下、あらすじと感想。
「幽霊戸籍と町おこし」
探偵の邑楽風子は依頼人の甲斐裕翔と会っていた。
宮崎県の市役所から曽祖父の三郎が110歳のお祝いを町おこしの一環として表彰したいと連絡があった。
しかし三郎の所在がわからず裕翔に連絡が来たというのだが、裕翔も会ったことがないのでどこにいるか調べて欲しいという依頼だった。
戸籍はそのままになっているが亡くなっているかもしれないと伝え、宮崎に調査に出ることにする。
しかしそのためだけに宮崎から東京まで訪ねて来るのかと疑問に思う。
事務所の下の喫茶店の康平から下に客が来ていると言われ行ってみると、馬場という先祖が武田信玄の重臣である馬場信春の血を引いているかどうか調べて欲しいと依頼して来た男だった。
しかし調査結果は農民だったため文句を言いに来ていた。
先祖は養子をとっていたためそちらの血筋も調査するということで引き取ってもらった。
風子は宮崎の役所の黒木を訪ね、戸籍を見せてもらった。
三郎の父母は不明となっていて、実家を辿るのは難しそうだったため、本籍地に向かうことにした。
誰も住んでいる気配がなく聞き込みができそうな民家もないため宿を取り、女将に聞いてみると三郎の三女の幸枝が踊りの先生だと判明した。
保存会のメンバーならわかるかもとのことで、日高という家を訪ねることになった。
日高親子の娘に三郎と妻が写った写真を見せてもらい三郎について聞いてみるが、もう亡くなっているのではと言われる。
すると母が「それは三郎ではなくトキトウエイタロウだ」と言う。
念の為その名前を書き留め、裕翔に報告の電話を入れると、時任榮太郎の方も調べて欲しいと言われ隣町まで行ってみると、やはり同一人物だった。
もう一度役所の黒木を訪ねると、すでに辞めたと言われ。。。
戸籍を辿って行く過程は面白かったけど、最後のオチで「こんなことする人いる?」って感じでした。
でも市役所の人なら個人情報見放題だし、悪用する人もいるかもしれないですね。
馬場さんは最後先祖がわかって良かったです。
「棄児戸籍と夏休みの宿題」
風子の元に依頼に来たのは太田萌と瑠依親子だった。
娘の瑠依が夏休みの宿題で家族史を調べるのを手伝ってほしいという。
戸籍を取ると、曽祖父より以前は愛知県北設楽郡となっていたので電話帳を調べてみると、太田理容店を見つけた。
早速瑠依に手紙を書かせ二人で訪ねてみる。
やはり曽祖父の六郎が太田理容店の主人の祖父の弟だとわかった。
写真を見せてもらうと瑠依とそっくりで驚くが、瑠依は両親と似ていないことが嫌だったが、親戚がそっくりだったことを喜んでいた。
お寺でもっと詳しくわかるということで訪ねると、太田家は丹波国で武士だったことがわかる。
瑠依の曽祖父の曽祖父の曽祖父はこの寺にいてあまり働かない人物だったが、行き倒れの夫婦を助け、その縁で寺を譲ったという。
そして譲られたのは今の住職の先祖だった。
瑠依はその話を聞いて自分と先祖を重ね合わせる。
もっと調べたいから京都の亀岡に行きたいと風子に告げるが、数日後瑠依が行方不明になったと連絡を受ける。
こんな風に自分の先祖を辿る旅に出られたら楽しいですね。
お前は海から拾って来たとか、昔の親なら絶対言われたことあると思うのですが、自分は本当にこの家の子なのかな?というのは誰もが一度は思ったことがあるのではないでしょうか。
先祖がそっくりだったら納得しますよね。
瑠依が意外といい子で良かったです。
「焼失戸籍とご先祖様の霊」
風この探偵事務所の下の喫
茶店の康平の別居中の妻昌子から連絡を受ける。
甥の諒が何かに憑かれたような行動をとることに悩み、先祖の供養が十分ではないかもしれないということで、風子に調べて欲しいという依頼だった。
母親の父方の祖父を調べるために岩手に昌子と向かう。
阿部家を訪ねるが何もなく、近隣の家の佐々木という老婆にを聞き込みをすると、阿部の名前を出すと顔色が変わり帰らされてしまう。
他の家も同様で、阿部家は何かトラブルを抱えていたようだった。
しかしどの家にも”長袖”という石碑があるのが気になる風子。
過去の祭事の記録から阿部家の足跡を辿るため、この辺りで名のしれた高齢の巫女である松山信枝を訪ねる。
そこで長袖はお遍路のような人たちのことだと教えられる。
昔は泊まる宿もないので農家に世話を頼むことがあったが、その人たちから金品を奪うなどするものもいて、そのような家は祟られて没落するといういわれがあるため石碑で供養していた。
そこへ憑いたものを呼び寄せることのできる女性がやって来たので、諒を見てもらうことになったのだが。。。
オカルトチックなお話だったけど面白かったです。
そんな都合良く運ばないと思うけど笑
ご先祖様の供養は大切ですね。
「無戸籍と厄介な依頼者」
宿の帳場に依頼料を預けてあるといいついて行きお金を受け取って宿を出ると、宿でケンちゃんと声を掛けられていた男に先祖を辿って欲しいと言われる。
戸籍がないので作りたいが、日本人と証明するために小さい頃の写真などがないと作れないのだが、母とも連絡が取れずに困っているという。
弟の健康保険証は持っているというので、そこから探すことにした。
しかし風子はすぐに腹を立てて怒鳴ったりする西口健司という男を面倒ごとに巻き込まれたと思っていた。
1週間後、住民票の住所の
錦糸町を一緒に訪ねることになったが健司は現れなかった。
滞在している宿に電話をすると、本人はそんなことは知らないと言っていると言われて戸惑う。
仕方なく一人で向かうと、母親は今もそこに住んでいた。
健司の名前を聞いて「そんな子は知らない」とドアを閉めようとするが、直前で手を差し入れ止めて中に入れてもらった。
弟の雄二はトラブルを起こし、自分を守ってくれていた健司までもが出て行ったことを不満に思っているようだった。
医療費が払えず出生証明がもらえなかったことで戸籍が作れなかったことがわかり、産院を教えてもらうが今もあるかわからないという。
その際に
バスコダガマ探偵熟書の高里という男も健司について聞きに来たことを知る。
図書館の古い地図から
参院を割り出すと、出征証明を発行してくれることになった。
健司と区役所に行くが指紋を取って審査があると聞くと怒って帰ってしまう。
資料を返却しようと宿を訪ねるが健司は不在で、食堂を回ってみるがいなかった。
そこへ小山と出会ったので健司の居場所を訪ねると。。。
外国人で無国籍とかならありそうだけど、日本でも無国籍ということがあるんですね。
学校にも行けず医療行為を受けることもできないなんてどうやって暮らせというのでしょう。
で、新しく戸籍を取るとなると色々大変なのですね。
知らなかったことばかりで勉強になりました。
「棄民戸籍とバナナの揚げ物」
バスコダガマ探偵事務所の高里とのやり取りで、風子を探している人物がいることがわかった。
自分を養護施設に捨てていった母かもしれないと思ったが、男性だとのことで父親かもしれないと思う。
しかし見た目から父ではないと判断し、人違いだったということになるが、写真だけ撮りたいと言われ応じる。
パルマの元妻荒井和子を探してみようと、二人が出会った自動車工場を訪れる。
そこではわからなかったがトンカツ屋さんならわかるかもと言われ向かうと、途中で二人組の男に捕まり「
マテウス・オガタの娘だろ」と言われ暴行される。
必死にトンカツ屋に逃げ、病院まで送ってもらってから高里と再び合流した。
パルマとオガタは
日系人のギャングに属していたことがわかり調べていくと、
観光協会の移民についての展示にたどり着く。
そこで風子は信じられないものを目撃する。
普通に戸籍があることって幸せなことなんですね。
無戸籍の話もそうでしたが、子供はすぐ戸籍をもらえるのに大人はダメなんて、なんか不公平ですよね。
結果的に風子の母は娘を思って捨てていったということがわかるのですが、これはこれで切ないです。
でも戸籍がないままなわけにいかないもんね。
先祖探偵のような職業が本当にあるのかわかりませんが、このお話を読んで自分の先祖も調べてみたいなと思ってしまいました。
何か面白いことがわかるかもしれないし、すごい家柄だとわかったら自慢したいし!
ちなみに私は
武家屋敷の跡地に住んでいたので先祖は武士だと思っていたら、親から「先祖は夜逃げしてこの辺に来た」と言われがっかりした思い出があります。
何があったのか詳しいことを先祖探偵に調べて欲しい!
自分のご先祖様に興味がある方は是非読んでみてください。
何か新しい発見があるかもしれません。