教誨 〜人間は皆かわいそうな生き物〜
タイトルの漢字が読めなかったのですが、「きょうかい」と読むのですね。
そして教誨師というお仕事もこれで知りました。
以下、あらすじと感想。
殺人で死刑となった三原響子の遺骨を引き取ることになった主人公の吉沢香純。
響子とは親戚だが子供の頃に1度会ったことがあるだけ。
「約束は守ったよ、褒めて」
という言葉を残した響子。
香純はその言葉が気になる。
響子の犯した罪は、自分の娘の愛理の殺害と、近所の女の子栞ちゃんの殺害。
拘置所から送られてきた荷物から見つけた日記にも「約束」の文字を見つける。
響子の遺骨を本家に送ろうとするが拒否されてしまい、仕方なく教誨師として響子と面会していた僧侶に会いに行く。
どうしても遺骨を故郷の青森に帰してあげたい香純は、自ら出向いて渡すことにする。
教誨師の僧侶の計らいで先方に連絡をとりお寺に行くのだが、ここでも受け取りを拒否されてしまう。
檀家が殺人を犯した者を同じ墓地に入れたくないという田舎独特に結びつきで、全く取り合ってもらえないが、津軽日報の樋口純也を紹介される。
樋口は今も独自に響子の事件を追っている記者なのだが、その理由は響子の幼い頃を知っているからだと言う。
響子の人柄から殺人と結びつかないため、香純は響子をもっと知るために青森にとどまり調べることにした。
響子がいじめにあっていた事、父親との確執、精神的な病のために薬を服用していたためにネグレクトのようになっていたことなど、次々と明らかになっていく。
同時に響子の母親である千枝子の過去も関係していて。。。
このお話は明らかに実際にあった事件をベースに描かれています。
生まれながらの善人も悪人もいない。
だけど周りの環境でどちらにでも転ぶ、と言う事でしょうか。
少しでも違う条件だったら起こらない犯罪ってたくさんあるのだろうなと思います。
実際の事件そっくりなので、「あの事件ももしかしてこんな背景があるのかも?」と錯覚してしまうほどリアルでした。
ただ欲を言うなら、主人公はほぼ接点がないのになぜここまで響子に執着するのかとなってしまうので、「自分も子供がいるシンママだから」みたいな設定にして欲しかったかなと思います。
一番印象に残ったシーンは、響子の死刑執行前の言葉が「かわいそう」と言った事です。
気になる方は是非読んでみてください。
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