雷神 〜ある家族の物語〜
「向日葵の咲かない夏」などでお馴染みのミステリー作家、道尾秀介さんの作品です。
以下、あらすじと感想。
主人公、藤原幸人は妻悦子と娘の夕見と暮らしています。
ある日父が営む料理屋を継ぐために料理の練習をしつつ、夕見をベランダで遊ばせています。
悦子は夕美のバッグを作るため、材料を買いに出かけるのですが、家を出たところで車に轢かれて亡くなります。
運転手は落下物に驚き誤運転をしてしまうのですが、落下物は夕見が父のために日向に置いたアザミの植木鉢でした。
事故原因を娘に隠したまま数年が経過し、幸人の父が亡くなった後へ舞台が移ります。
幸人は父南人の跡を次、飲食店を営んでいます。
夕見は大学生となり、写真を学んでいます。
そこへ男が現れ、「娘の犯行を本人にばらされたくなければ金を出せ」と脅されます。
男はアザミを育てていたことも知っていました。
このままでは妻が死んだのは夕見のせいなのが本人に伝わってしまうと焦った幸人は、夕見が父の故郷である羽田上村で写真が撮りたいという誘いに乗り、姉の亜沙実と3人で出かけます。
羽田上村から埼玉に引っ越したのは、母の英(はな)が不審死をとげ、その後父が村の権力者の4人を祭りの日に神社で毒殺した容疑者にされ、さらに幸人と亜沙実が雷に打たれたことで村に居づらくなったことからでした。
父が犯人だとはどうしても思えない幸人は夕見にも事件の事を話し、3人で事件の真相を追おうとします。
そこで、フリーの編集者とライターとカメラマンとして村人に話を聞いて回ります。
父が犯人だと疑われた理由が、雷を祀った神社の宮司の女性が父に渡した手紙のせいなのですが、宮司はその直後に自殺してしまいました。
現在の宮司は娘の希恵が勤めているのですが、希恵は亜沙実のかつての親友でした。
村人に聞き込みを続ける中、もう一つの目的である夕見の流れ星の撮影のため山に登ると、同じく写真を撮っている彩根という人物に出会います。
この彩根も幸人の父の事件を追っているという、謎めいた人物でした。
真犯人は誰なのか、この後どうなるのかととドキドキしながら一気に読んでしまいました。
ちなみに私の予想していた人物は犯人ではありませんでした笑
見事にミスリードされてしまった。
アリバイトリックが漢字を使ったものだったので、漢字って面白いなと思いました。
少しの違いで全く違ってしまうなんて。
母の死の部分は辛くて読み進めるのが大変でしたが、最後に全てが繋がった時、家族の愛を感じました。
最後まで飽きさせないスピード感です。
是非、読んでみて下さい。
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